本日の大護摩供のレポートです。
大護摩供は宝満山修験会による神事で、
人々の願いを書いた護摩木を護摩壇に投げ入れ、
修験道によって除災招福を祈るもの。
希望者は護摩木を購入して、
家内安全などの願い事と名前、数え年を記入して渡します。
拝殿での護摩供奉納奉告祭と筑前琵琶「竈門山」の奉納が終わると、
下方からほら貝の音が聞こえ、
階段を山伏とお稚児さんが上ってきます。
始まりは山伏問答から。
問に答えなければ中に入ることは許されません。
修験の修とは験とはいかに?
修験道の開祖はいかに?
大護摩供とはいかに?
などの問に的確に返答する山伏。
そして「ひとつひとつ違いなし。しからばお通り候らえ」と許されます。
その後、法弓、法剣、法斧の壇作法が行われます。
いよいよ護摩壇に御神火が燈されます。
周囲を囲む山伏たちが一斉に読経し、
太鼓と錫杖を鳴らすと、あたりは独特の雰囲気に包まれます。
やがてその声と音に力を得たかのように黄色味を帯びた煙が勢いを増し、
生き物のように捻じれ、地を這い、
そして天へ上っていきます。
やわらかな綿のような煙ですが、火山の噴煙のようでもあり、
竜巻のようでもあります。
護摩壇を覆っていたヒバが燃え尽きると中の火と丸太の枠が見えてきます。
煙に替わって、今度は炎が燃え上がります。
そこに護摩木を投げ入れていきます。
炎の熱の中で人々の願いも天に上っていくようです。
護摩木をすべて焚き終えると組まれていた丸太が解体され、
火生三昧(火渡り)の準備をします。
まだ火種があり、熱い中を山伏が火渡りをし、
その後、長蛇をなして並んでいた一般の人々もこれに続きます。
無事渡り終えると御札をいただきます。
巨大な煙と炎に自然への畏怖も感じる大護摩供。
俗世を生きる人々の願いを、読経のカタルシスの中で自然と融合させ昇華させるような行事でした。
(前野りりえ)