• 2015年07月登録記事

宝満山山開き

日時 7月19日(日) 11:00~

   山頂上宮において山開きの祭典があります

 

山開きについて

 宝満山のように年中登山者の絶えない山では「山開き」という言葉がピンときませんが、もともと霊山へは年中登拝出来るものではなく、一年のうちの期日を決めて登拝が許されていました。その初日を「山開き」と言いました。

昨日7月1日は、爆発の被害があった御嶽山での山開きの様子がテレビで放映されていましたが、富士山五合目でも、神社鳥居に張られた注連縄を大天狗が切り落とす行事が行われました。現在は7月1日を山開きとしている山が多いようですが、かつては、「卯月八日の初山入り」として旧暦4月8日前後に行われる所が多々見られました。山には若葉が芽吹く良い季節です。宝満山の十六詣りも卯月八日の初山入りの一形態と考えられます。

修験道のメッカ大峯山上ヶ岳でも、卯月八日(現在は5月3日)に大峯山寺の本堂の扉を開ける「戸開け式」が行われ、これを以て「山開き」とします。そして9月9日の「戸閉め」までの間、山上ヶ岳へ全国から多くの山伏が峰入りをします。

7月1日は旧暦の6月1日を月遅れにしたものですが、高山や寒い地方では、この頃になると雪も解け、安全に山に入られるということでしょうか。

明治以後、スポーツとしての登山が盛んになり、どんな季節でも登山者は山に入りますが、それでも1年に一度「山開き」の日を決めて、登山の安全を山の神に祈る事は、忘れずに行われているのです。

 

先日、宇佐市教育員会の人から「宝満山の上宮の後の岩に鎖を懸けた業者を紹介してくれないか。あちこち聞いたけど何処にもなくて、石鎚山でさえ、一軒だけあった業者がつぶれ、次の鎖掛けはどうしようかと困っているとのことだった。宝満山のは新しそうなので…」という電話がありました。

竈門神社に尋ねたところ「神社からの発注ではない。西鉄山友会に聞いてみたら」というご返事でした。

さっそく西鉄山友会の伊藤さんに電話したところ「私がつけた」という驚きのご返答。用具や材料は登山専門店や量販店で購入し、あの絶壁に登ってつけられたのだと言うことです。

江戸時代に何処の誰が鎖を寄進しただとか、そういう知識はあっても、今日私たちが使わせていただいている鎖を何処の誰がつけたのだろうかと考えてもみなかった私。本当に恥ずかしいことでした。それに気づくきっかけを作ってくれた宇佐の友人に感謝です。

それ以上に、常々尊敬申し上げている伊藤さんに対して、一層の感謝と尊敬の念を抱きました。

どれだけ多くの人々が、伊藤さん達山友会の方々のおかげで、安全で楽しい登山ができていることでしょう。それを誰に言うこともなく、ただ黙々と日々活動されていることは、山伏的に言えば「菩薩行」にほかなりません。

登山の技術には、難しいことがたくさんあると思いますが、一人でも多くの若者が技術を習得し、こうした活動に続いてほしいものと思わないではいられません。    (弘子)